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2010.1.4 Monday
間違えられた
昨年暮れのある日の深夜、携帯に電話がなった。
「ホームページで見たんですけど、デリヘルお願いします。今、××駅の近くです」
届出手続の依頼ではなく、どうやら僕の事務所のホームページをデリヘルの店そのものと間違えたのか、あるいはデリヘルの紹介サイトと間違えた様子。
もちろん、行政書士事務所であることを説明したのは言うまでもないが、実は僕はすでに就寝中で頭が回っていなかった状態。翌朝になって、サポートしたことのある店を紹介してあげればよかったかなと思い、「デリヘルコンシエルジュの商売でもしようかな」とまで考えた次第。
けど、思い返してみると、昨夜の電話は聞いたことのない駅。調べてみたところ、神奈川県のマイナーな駅だった。元々東京育ちの僕でも聞いたことのない駅。もちろん、そのエリアでのサポート実績はないため(当事務所は関西)、頭が回っていても紹介することは不可能だった。
それにしても、店や紹介所と間違えられたのは初めてのこと。たまにはこんなハプニングも話やブログのネタになっておもしろい。同業者に話してみたところ、
「さすがデリの第一人者やな」
と関心されたほど。さすがにそれはちょっと照れ臭かったものの、まぁ、よしとしよう。
さて、サポートを通して感じたのは、やはり景気の悪さ。毎年12月はクラブやデリ業界は稼ぎ時なはずなのに、昨年に関しては稼ぎ時を逃したと感じている経営者も多かった模様。次に期待できるのは人の流れが活発になる4月だろうか。新規開業予定の方は、3月までを準備期間として、4月オープンをめどにされるのもいいかもしれません。
というわけで、本年もよろしくお願いします。
2010.1.11 Monday
それでも僕らはみんな、生きている
「先生は、どうしてそんなに詳しいんですか?」
あるデリヘル開業手続きの依頼者、相談時、少々驚かれたようです。実際、相談においては、単に警察への届出に関することだけではなく、他にも様々な質問を受けます。例えば、税金や源泉徴収などについてもそのひとつ。そして、相談者の多くが「他の開業者はどのようにしているんですか?」と尋ねてきます。
僕の場合、実績、職歴が伴って、業界に精通していると自負しています。実際の開業者の話は、実績を重ねなければ知ることができません。また、行政書士開業以前も、風営法に関する業界に携わっていたことが、現在の仕事に大きく寄与しています。今では風営法に関して週刊誌からコメントを求められることもあります。
一方、この業界に精通した行政書士なんて、けっして品がいいものではないことも自負しています。実際、クラブなどの風俗営業の許可は引き受けても、デリヘルについては断っているという同業者もいます。僕自身も、正直言うと、開業当初はこの業務を避けていました。ですが、結局戻ってきてしまったのは、格好良く言えば、表と裏のボーダーライン上で両方の世界を垣間見てきたスタンスによるものかもしれません。
デリヘルについてはお断りという行政書士が思い描いている依頼者の実像と、僕のところに依頼に来られる方の実像では、実は大きな隔たりがあります。そこには、僕にとっては無視できない状況があるがゆえ、掲示板で「最低の行政書士」と罵られながらも、この業務を続けている所以です。
いずれにせよ、みなさんとは「縁」があるか否か。最近では、東京からの相談者も増えています。2010年初春、それでも僕らはみんな、生きているーー。
2010.1.13 Wednesday
ちょっと和んだ夜に
その日の夜、9時すぎに電話をかけてきたのはしいなちゃん。
「店がつぶれそうなんです。デリヘル嬢って、雇用保険貰えるんですか?
少々東北なまりの入った可愛い声の29歳。ホームページを見てかけてきたとは言うものの、いったいどのようなキーワードを入れたら僕のページが引っかかるのか。デリヘル嬢+失業+雇用保険?
で、回答。加入していれば貰える可能性はあるが、もちろん未加入なので不可。するとしいなちゃん、おそらく自分でも色々と調べたのだろう。
「さかのぼって払えるって聞いたんですけど」
なるほど、なんとしてでも欲しい様子。店は有限会社とのこと。送迎ドライバーを時給で兼ねていたこともあるので、しいなちゃん自身は雇用保険の対象となる可能性はある話。
しかし、肝心の店が雇用保険適用事業所として手続をしていなければ、あるいはこれからするにせよ、店(会社)が手続をしなければやはり不可。しいなちゃん、個人で手続できると思ったようだが、それはできないと話すと少々落胆気味。
が、まだまだ自分で調べてきたネタは持っていた。
「倒産の場合、多く貰えるって聞いたんですけど」
「学校行ったり、勉強すれば手当が出るって聞いたんですけど」
などなど。はたまた、
「自分でデリヘル始めたら、助成金貰えますか?」
確かに教育訓練給付制度もあるし、職業訓練を受ければ受給期間も延長される。また、最後の質問は受給資格者創業支援助成金のことだろう。しかし、いずれも雇用保険への加入が前提であり、ましてや受給資格者創業支援助成金については算定基礎期間が5年以上なければ対象外。
「何かないですかねぇ、助成金貰えるのって?」
ここまでくると、もはや憎めない。僕自身、思わず苦笑しながら会話を続けていた。あれやこれやと15分ほど話したかな。やがて、
「長々と聞いてもらってどうもありがとうございました」
と、しいなちゃん。実はけっこう礼儀正しい。またしいなちゃんが電話をかけてくることをひそかに望んでいる僕。今度は労災の話か、それとも社会保険か。ノンキといえばノンキな女の子。されどガンバレ、明日はきっといい天気!