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2015.4.13 Monday
迷っているのなら、やめた方がいい
今後、彼女はどのようにして生きていけばいいのだろう。電話で話をした後、僕はしばらく考えていた。
「正社員の仕事を探して働けばいい。今なら昔と違って、仕事も何なりと見つけやすいはず」
多くの人がそう答えるだろう。そうなんだけどさぁ。それができない、何かしらの理由があるからこそ、僕とわざわざ1時間も話すことになったわけで、そもそも、それができればとっくいそうしている。
できない理由は、精神的な問題もあるだろう。また、小さな子供がいることも、理由のひとつとなっていると言わざるをえない。
「甘えている。みんなシングルであると、子供がいようと、頑張っているんだ」
それもわかっている。それでも、僕はあえて、彼女がそうできないところの理由に思いを馳せる。
僕自身、学生時代のアルバイトを除けば、雇用されたことは一度もない。自営が厳しい頃でも、雇用されることを考えたことはなかった。雇用されるのが嫌なわけではなかった。当時、ハローワークに行ったところで、募集しているのは20万円程度の仕事ばかり。家族を抱えていた僕に、それは無理な額だった。
40歳の頃、中高年の雇用対策として、職員を若干名募集した自治体があった。僕は試しに応募してみた。給料は安くても公務員、5年も踏ん張れば、年収500万くらいは貰えるはずだ。それなら、なんとか食っていける。
だが、あえなく落ちた。当たり前だ。わずか1,2名の採用に対し、200人以上もの応募者が殺到したのだから。
そんな経験をしている僕としては、彼女に「正社員の仕事に就くべきだ」なんてこと、言う気はなかった。
一方で、彼女が望む個人で事業を始めることは、難しいだろうとも思う。子供がいなければ、「やってみなよ」と言っていたかもしれないが、資金的な余裕もない以上、リスクが高すぎる。それでもやりたい理由があるのならともかく、彼女自身迷っている。迷っているのなら、この業種はやめたほうがいいと僕は考える。
さて、現実的には、落ち着くところに落ち着くことになるのだろう。落ち着き先も想像できる。彼女からまた電話はかかってくるだろうか。「私のこと、覚えておいて下さいね」、彼女は最後にそう言った。